「え、本当に……?

俺だけは……大丈、夫?」


不安げに私を見る稜佑に近づく。


力の入っていた彼の両手を手にとって

ぎゅっと握る。


「うん、ほら、ね?」


うん、大丈夫。

何も怖くないよ。


「マジで……?」

震えた声が聞こえたと思ったら、

握っていた手が引っ張られた。


「わっ」

気づくと私の頭は稜佑の胸に寄りかかってて。


ぬくもりを感じて落ち着く。


「ははっ、マジじゃん。

うわー……嫌がられない。

やばい、嬉しい」


「うん、私も」


よかった。

伝わったかな。


「急にどうしたの?

今まで俺のこと『嫌い』って、『気持ち悪い』って

散々頑なに言ってたのに」


まだ不安そうにそう聞いてくる。

今までそう言っていたから急に好意をしめしても

信憑性ないっていうか、びっくりしちゃってるのかな。


私は笑って答える。


「うん、私も稜佑の過去を知って

受け入れたいと思ったんだ。

私のこと、初めて大切に思ってくれる存在だったんだよね?

それで稜佑も戸惑ってるんだってわかって、

だったら私から受け止めて近づきたいって――」


「……俺の過去?」