稜佑に言われた、
『大切な子を自分が傷つけてるなら
もう傍にいることすら許されないんだ』
「私、すごい大切にされたんだよね……。
今になってわかってるんだ。
アイツってかなりバカだけど、
私も大概よね」
稜祐の過去を聞くと
彼が特定の誰かを想えるようになったことが嬉しい。
それが自分だって言われて、
すごくすごく嬉しい。
だけど、
少しすれ違っちゃったんだ。
私なら、
あの稜佑が初めて必要としてくれたのなら、
私は稜佑を助けたい。
満たされてこなかった気持ちをうめたい。
愛を、
アイツにあげたい。
「稜佑が人を大切にすることに人一倍臆病な理由、
わかってもらえたかな。
俺から言ったのは当事者のあいつに聞くのとは
違うところもあるかもしれない。
意思がしっかりしてきた頃に
俺の母親とか稜佑がぽろっと言ったことから聞いたことを
まとめてるだけだからさ」
「ううん、ありがとう。
わかってよかった!
私もね、稜佑が私にとって大切にしたい人みたいなんだ」
そう伝えると伊東くんは嬉しそうに
「うんそっか、……そっか。
稜佑をよろしく」
と笑った。