びっくりして足が止まる。
教室に残っている他の生徒も
何事かとざわつく。
「もう嫌だよっ、
こんな風にみんなお互い言いたいこと言わずに
気まずいのは!」
頑張って張り上げたんだろう大声で
紗依は悲痛に叫ぶ。
「紗依っ……」
びっくりしていた美奈がはっとして紗依の体を支える。
出したことのない大きな声に
小さな体がふらついたみたいで。
でもその美奈を紗依は悲しそうに見る。
「美奈、言ってたよね?
香乃子が何を悩んでいるかわからないけど、
いつか自分から話してくれるのを待つって。
でもさぁ、そんな風に先に帰っちゃったりしたら
香乃子も話しづらいと思うの!」
次にその後ろにいた、茜を見る。
「茜、香乃子の事情ちゃんと聞いた?
好きな人と他の子が仲良くしてるところは見たくないって気持ち、
わかるよ?
だけど、悲しいからって全部聞かない見ないようにしてたら
香乃子だって何が悪くて茜が悲しんでるのかわからない」
そして――
「香乃子っ、
言いたいこと言っていいんだよ!
私たちは絶対、離れたりしない!!
どんなにストレートに気持ちを言われても、
どうしてそう伝えてくれたのか、ちゃんと理解したい。
だって私たちは
香乃子のことが大好きだから!!」