私の気持ちを話せる人って誰だろう。


そう考えた瞬間にある顔が浮かぶ。


……でも、もうその人とは関わってはいけない。


紗依は困ったような顔をさせてしまうし、

茜と美奈はきっとまた変に思われる。


水野くんは意識しちゃうし、


伊東くんなんて、茜にどう思われるか。


誰とどう関わらなくちゃいけないとか

今まで学んでこないで避けてきたバチだ。


自分の気持ちの表し方も、

人の気持ちの受け取り方もわからない。


ああ、イライラする。

空腹のせいかな。


昼休みは残り15分になった。


恐る恐る教室に戻ると

茜や美奈の姿はもちろん、

伊東くんや稜祐、彼を取り巻く女の子もいない。


私はほっと肩をなでおろし、

紗依を探すと、

自席で1人、ぼーっとしている彼女を見つけた。


「紗依っ!」

お弁当を持って近づくと

「どうしたのかと思った……!」

やっぱり困らせてしまった。


「ううん、なんでもないよ」

もうこれ以上紗依に心配させるようなこと

言っちゃダメだ、

そう思って口を噤むと、

彼女は顔を俯けた。