綺麗な黒髪ストレートが

暑さを感じさせないくらい爽やかになびいている。


歩道と車道の間のガードレールに腰をかけ

スマホをいじる姿でさえ様になっている。


長い脚を伸ばし、

ガードレールから降りて立ち上がると


彼女はこっちをまっすぐ見た。


「お久しぶりです」


私はにっこりと笑う彼女のいるこの状況がよくわからず

紗依を見ると、目が合った。


どうやら紗依もよくわかってないみたいで。


「香乃子さん……でしたよね?」


彼女のその言葉で

私に用があるんだとわかった。


「改めまして、稜佑の妹、

桃井麗佳と申します。

いつも兄がお世話になっています」


確か、有名私立女子中学の制服のスカートをなびかせ

彼女はにっこりと笑う。


すごく、冷たい笑みで。