なにそれ、知らなかった。


私はてっきり毒舌なのに引かれて、

もう声かけられていないとばかり思ってて……。


「ってことで、俺今まで君の事ずっと気になってたんだよねー」


私をここに連れてきた人が

近づいてきて私の髪を一束すくう。


「こいつMだから毒舌とか全然オッケーだってさー!」

後ろに数人居るうちの1人がそういうと

他の人たちが笑い出す。


気持ち悪くて

首を振って手から離れる。


「あのっ、すいません、

私そういうのは――」


『興味ない』

今までずっとこう言って断ってきた。


だけど、違うんだもう。


「んー?山田さん?」


急に黙った私を覗き込もうとしたその人を睨む。


「私!好きな人居るんです!

ごめんなさい!」