「わ、私っ――」


「わかってる」


私の言おうとしたことは遮られ、


水野くんは

優しく微笑む。


「急にびっくりさせたと思うし、

山田さんの気持ちはわかってるから」


私の気持ちって、

さっき自覚したばかりなのにな。


周りは私より先に

私の気持ちの正体を知ってたって事か。


「桃井の考えていることはわからない。

君にとっての光が桃井なら

しょうがない、長期戦だ、と思ってた。


だけど、

あいつのせいで泣いてる山田さんを見たら、

どうしても俺の方が絶対君の光になれると

思ったみたいだ。


ごめん、びっくりさせてしまって」


そういって、水野くんは立ち上がり

私に手を差し伸べた。


私はその手を借りてふらっと立ち上がる。


「返事はいいよ、

傍に俺が居るってわかってもらえたらいいんだ。


いつか、選んでもらえたら、

嬉しいんだけどね。


……とりあえず、帰ろう?」


2人で教室に入って

荷物を手に取り教室を後にする。


弱いな私は、

自分の気持ちははっきりしてるのに

水野くんが私を想ってくれる気持ちに甘えてしまった。