いつだったか、
私はそんな言葉を彼に言ったことがあるような。
稜佑が力強めに
私の手を引き剥がす。
そういえば、
抱きしめられた胸を突き放したことがあった気がする。
無言で向こうへ行ってしまう
稜佑の姿は滲んで、もうはっきり見えない。
そうか、
私が今まで彼に発した言葉は
彼にした行動は
こんなにも冷たい、拒絶だったんだね。
どうしてもっと素直にならなかったの。
どうしてちゃんと向き合おうとしなかったの。
もう稜佑は、傍に、居てくれないのに。
今さらになって
気づくなんて。
遅いよ、バカっ……。
私は
稜佑が、好きなんだって。
「バカぁ……っっ……」