心配するような『大丈夫』ではなくて
とげのある、嫌味のような『大丈夫』。
それを聞いてはっとする。
「もしかして……伊東くんからっ――」
「聞いた」
言葉をかぶせてきた稜佑は
バツが悪そうに
目を伏せてる。
「俺今までそんなことも知らずに
最低だったっしょ。
香乃子ちゃん、距離が近い度に嫌がってたの知ってたのに。
単純につんけんしてるだけだって、
勝手にそう解釈して。
俺の、
香乃子ちゃんの傍に居たいって気持ちだけを優先してさ」
稜佑の私の傍に居たい気持ち……?
「こんな結果になっちゃったけどさ、
俺なんだかんだ香乃子ちゃんのこと大切にしてたつもりだったんだ。
だけどひとりよがりだったの、それも。
今まで生きてて、
俺に対してはっきり『キモい』とかさ、
逆に『アンタのおかげで』とか言ってくれたのは香乃子ちゃんが初めてで。
勝手にこの子が俺の特別なんだって思ってた」
温もりのこもった声に
心臓がばくばくいってる。
稜佑が私を想ってくれていた気持ちが
伝わってくる。
だけど、目が、合わないの。