――今日の時間割に移動教室はなくて、

10分の間休みで終わる話じゃないと思った私は

お弁当と昼休みの時間をもらって話をしようと決めた。

のだけど……


「……紗依!私ら今日は食堂行って食べるね!」

「えっ!それなら私たちも行くよ!?」

「でもお弁当あるでしょ?いいよ!わざわざ!ねっ!?」

「そうそう!じゃあね!」


――なんて。

ちょっと、あからさま過ぎませんか。


「――香乃子っ!!」

深刻な顔つきで

真っ先に私に駆け寄る紗依に

私は苦笑いをするしかない。



「ちょっと教室じゃ話しづらいし、

中庭のベンチ行かない?」


結局、口調がどうこうじゃなくて、

私の人格が人を遠ざけるのかな。


「うん、行こう」


教室を出ると

廊下は湿気がすごく

肌にまとわりつくべたつきがすごく不快。


「もう夏だね……」


「うん……」


中庭に向かいながら、

隣を歩いてくれる紗依の存在が

すごくありがたく思えた。