過去何があったかを稜佑に話す……。
伊東くんの提案の意図がわからなくて
彼の表情を見る。
「……といっても、
山田さんはそれがあいつに
何の影響があるのだろうと思うと思う。
俺の予想ではあいつは山田さんを大切にしたくて、
でもその方法がわからなくて
そんな時、山田さんに拒絶されたと思ってしまって
今その自分の混乱した気持ちにふたをしてるんだと思う。
お互いにお互いをもっと知って
混乱を溶け合えたらと思うんだ。
そして、俺ではなれない、
あいつを救う存在に、山田さんに……」
伊東くんは悔しそうにそこまで言うと、
はっとした表情の後苦笑して
「いや、それは押し付けになるな。
ごめん、とにかく少し前までの
あの2人に早く戻ってほしいんだ」
と困ったように笑った。
伊東くんは私の想像以上に稜佑と一緒に居るのかもしれない。
何か、私が前に感じた稜佑のパンドラの箱の中身を
彼は知っているのかもしれない。
そんなことを思える内容だった。
私の過去を教えて、
この間からうまく接することが出来ない理由を伝える。
そしてお互いの混乱をとく。
伊東くんに言われて初めて稜佑に過去を話すことを考えた。
今まで自然に頭から撤去していた。
だってなんか、
自分が汚れていることをカミングアウトするみたいで、
嫌なの。