「とりあえず歩き出すか」

私は早く解放されたくて

とりあえず頷く。


拒否しても

きっと逃がしてくれない。


それに一緒にいたくない気持ちと


何でだろう、


妙にほっと落ち着いている私に気づいた。


「もうストレートに聞くよ。

何で俺のこと避けんの」


さっき声をかけられた最初から

こう聞かれるとわかっていたのに

うまい返事が思いつかない。


黙っていると

「俺なんかした?」

と畳み掛けてくるけど、


むしろ私は自分の行動の意図を話すより

稜佑に聞きたいことがあるよ。



「……なんであの日、

美奈のこと教室で押し倒してたの」