え、何で。


そう思ったときには

もう美奈が少し後ろにいた私の方を向いて

「一緒だよー、香乃子?」

と何で後ろにいたのか不思議そうにしていた。


「ちょっと話したいことがあるんだけど」

私の前まで歩いてきた

稜佑が神妙な面持ちで私を見下ろす。


「あ、じゃあ私たちはいない方がいいよね?

先帰ってるよ!」


私の返事を聞く前に

美奈は紗依の手を引いて行ってしまう。


待って!、そう思って追いかけようとして、

目の前に立たれて足を止められた。


「私は……ないっ」

目が合わないように

俯いて答えると、

納得の言ってなさそうな声で


「俺は話したい」

なんて、

稜佑のこんな声のトーン、初めて聞いた。