「そういえば香乃子、

夏服移行と一緒に

メガネ取ったね」


そう、

外見だけで接触してくる人を

避けようとして

少しの間またあの地味な格好に

戻してたんだけど、


でも1回顔立ちが派手って認識されたら

地味に戻しても色んな人に声かけられちゃって意味なくて。

結局ダテメも外して

スカート丈もすっきりさせた。


「夏だしね、

あの格好意味もなくなっちゃったし

もういいかなって」


暑苦しいし、と付け足した私を

紗依は少し苦笑いで見た。


そりゃそうだよね、

だって夏服に長袖カーディガン羽織ってますから。


人の肌に直接皮膚を当てたくなくて

こうしているけど、

正直暑い、でもしょうがない。


「お待たせー!」

美奈が来て、

鞄を持って教室を出る。


昇降口を出て、

校門へ向かいつつ、

流石に6月後半の梅雨のこの時期に

長袖カーディガンは暑くて、

学校を出て誰かに当たる可能性も下がったことで

それを雑に脱いで畳んで鞄へしまう。


しまうのに少し足を止めると、

「えっ、どうしたの?」

少し先を歩いていた美奈の声が入ってきた。


「んー、香乃子ちゃん一緒?」