帰り道は茜がどうにか空気を明るくしてくれようとして、

美奈もそれに合わせていた。

途中途中で大丈夫?と心配してくれる紗依に

うまく笑えてないだろう顔でうんと答える私。


やっと紗依が電車を降りて

1人になったときに

肩の重荷が降りた気がした。


疲れた、もう何も考えたくない。

心を空にするように

夕焼けに染まる空だけを見て帰路を辿った。


――明日になれば、

トラウマも忘れて、またみんなで楽しく過ごせるって。

そう思って眠りについて、

翌朝目が覚めて早々にその予想が大きく外れたことがわかった。


ああ、もやもや、消えてないじゃん。


機械のように支度をして

学校に着く。


「具合はどう?」

昨日に引き続き心配してくれるみんなに

「もう大丈夫だよ!」

と返事をして、

心のどろどろは隠した。


その日から私は

みんなと、

特に美奈と接するのを怖がり、

ある程度の心の距離を自分から置いていってしまった。