「本当大丈夫?香乃子」
みんなの心配そうな顔が辛いけど、
本当のことを話すほうがもっと億劫だ。
「うん、大丈夫。
帰ってちゃんと休むよ」
「そうだね、じゃあ帰ろうか」
生徒はもうほぼ帰宅か部活で
シンとした廊下を
4人、とぼとぼと歩く。
多分また私の速さに合わせてくれてるんだろうな。
「そういえば、何で桃井くんまで一緒に探してくれたの?」
茜の何気ないような一言に
私の肩が跳ね上がる。
美奈をそーっとみると、
なんだかばつが悪そうに、私を見た。
目が合って、思わずそらしてしまう。
「あー、えっと……香乃子が具合悪くなって
どこかに走り出して行っちゃったときに
私と桃井くん、一緒に居て」
あの時の映像を思い出しそうになって
慌てて別のことを考える。
体に冷汗をかく。
「ふーん、そうなんだ」
当時を知らない茜は納得したけど、
あの体勢を知ってる私は
美奈のあいまいな返事にもやっとする。
何か、隠してるのかな。
ダメだ……どうしても気になる。