「もしかして水野くん、

阻止しようとしてくれたの?」

少し冗談交じりで、ふふっと笑って言ってみた。


ちなみに彼の今回のテストの学年順位は5位。

私なんて贅沢な環境で教わってたんだろうって、

順位見たとき思ったな。


その時のことを

思い出しつつ水野くんのほうを見ると、

何故か顔が真っ赤に。


え、え、なんで!?

「……み、水野くん?」

恐る恐る名前を呼ぶと、

下へ俯いて

「――山田さんが、

桃井との約束をちゃんと守っているのを見て

互いが特別、のような空気を感じるのは

なにか、悔しい……」

と恥ずかしそうに

ほうきに頭をコツンと乗せた。


私はいっきに顔が暑くなるのを感じる。


『桃井くんも水野くんも香乃子にだけ、

他の子とは違う様子で接してるんだよね』

『2人とも香乃子ちゃんへの態度には

優しい印象を受けるよね』

美奈と紗依のお昼のときの

言葉が頭の中をぐるぐる回った。


「……あ、えっと!!

そ、そんな特別でもなんでもないよ!

明日にはさ、戻しちゃうしさっ!」


私がそういうと

水野くんは

何故か安心したように気の抜けた笑顔で

「そうか」

と言った。


……う、うわぁ、

そんな表情初めて見た。

なんか顔暑いのおさまんない。