「私だけ……?」

どういう意味?というニュアンスを含んで聞くと、


「『色恋沙汰は有り得ない』は

香乃子しか思ってないんじゃないかなって。

少なくとも私の見た限りでは

桃井くんも水野くんも香乃子にだけ、

他の子とは違う様子で接してるんだよね」


お見通しというような感じで話す美奈。


「うんうん」

隣では茜も、

「それが恋愛感情なのかはわからないけど、

確かに2人とも香乃子への態度には

優しい印象を受けるよね」

紗依までがその言葉に同意していた。


『優しい』か。


確かに、

稜佑なんかはウザったいし

しつこいけど、

いつも何か助けてくれる。


水野くんだって話しかけたら

言葉としてではなくても絶対返そうとしてくれるし

自分から私に勉強教えてくれたし。

そのおかげで赤点はひとつもなかったもんね。


あー、そうか、

私2人にはすごいお世話になってるんだな。


……でもだからって、

紗依も言ってたけど、

これが恋愛感情だからっていう確証はないし、

私に至っては

今のところ全く恋愛とかする気ないし。


あー、なんか考えてたら

わけわかんなくなってきた。


黙る私をじーっと見つめる3人に

慌てて他の話題を提案する。


「み、美奈の方こそ

モテてるってことは

何かあるんじゃないの!?」