「そんなこと、初めてだよ」


口説かれるなんて、

今まで恋愛とかに全く縁のなかった私には

初めてのことだ。


「え、中学までに色んな人に声かけられてないの?」


中学までは今みたいな格好だったっていうのを思い出したのか、

美奈が興味深々に身を乗り出した。


「中学はよく『キモい』って言われてたよ」

あんまり思い出したくない中学のことが

少し頭をかすった。


「『お前顔だけじゃん』とか、

意味わかんないけど、言われたこともあったなー」

苦笑いしながら頭の後ろをかいた。


「何それっ!」

「ひどっ!!」


私も当時はいちいち傷ついてたけど、

今はこうやって庇ってくれる友達がいるんだ。

それでいいんだ、私は。


「それはさー、多分ガキだったんだよ」

……稜佑まだいたのか。


「何?ガキ?」


「そうそう、香乃子ちゃんのこと

ちゃんと面向かって可愛いって言えない照れを

そういう低脳な言葉で発散してたんだろ」