――「山田さん」
お弁当のハンバーグを口に含んだ時、
あまり聞きなれない声が私を呼んだ。
声の聞こえた方を振り返ると、
クラスメイトだけどあまり話したことのない子が
私を呼んだみたいだった。
口を動かしながら、
ちょっと待っての意味で手のひらを立てて向ける。
その子は頷くと
その場で少しの間待ってくれた。
私は荒く噛んだハンバーグをお茶で流し込んで、
もう一度その子の方を向く。
「……っごめんなさい、何かな?」
話しかけると、
その子は教室のドアをちらっと見て、
「あの人たちが山田さん居ますかって!」
つられて私もそっちを見ると、
知らない男子2人と目が合った。
その瞬間、その人たちはこっちに向かって手を振る。
誰……?