「え、どうしちゃったの……?」

びっくりしてる茜は

隣でスマホをいじっていた美奈のスカートの裾を引っ張る。


「え、どうしたの。香乃子が来たんでしょ?」

と、いつもの格好を想像してたらしい

美奈がゆっくり顔を上げると、

隣に立つ茜とそっくりに目を見開いた。


「え、香乃子?」


私かどうかにも驚いていて、

私は思わずくすっと笑ってしまう。


「ふふっそうだよ、香乃子だよ」


「なんでなんで!?」

「めっちゃ可愛いー!!」


私に駆け寄ると、

2人は上から下までをガン見してくる。


「あー、実はね、――」


稜佑との賭けはアイツが勝つわけないと思っていたのもあって

あの時あの場に居た水野くん以外は誰にも言っていなかった。


……けど、一昨日順位が張り出されてから

急いで美容院予約して昨日行って

今日この格好でこれるように

意外と頑張ったんだから。


「前まで髪の長さと制服の着方的に大人しく見えてただけで、

メガネ越しでも綺麗な顔してるとは思ってたけど、

ここまで美形だったなんて」


まるで評論家のように私を見て言う美奈に

茜がうんうんと頷く。