「これからはずっとその格好、すんの?」


自分で要求してきたくせに

不満そうな稜佑の声。


確かに、前の格好は

外見だけで人が寄ってきたりとか、

そういうことが一切なくてよかった。


「戻していいんなら戻すけど」


つまりはコイツとの賭けに負けた条件を

律儀に守ってるだけで、

私は特にこれといってこだわりなんてなかった。


「あー、うん……」


さっきは『俺だけが知ってた』だとかなんとか

言ってたくせに

いざ私が戻したいと言うと

何故か渋ってる稜佑。


どっちなのよ。


「とりあえず、今日はダテメ持ってきていないから、

この格好でいるけど、文句ある?」


「ありません……」


煮え切らない彼の態度に呆れて

私は囲まれていた腕をくぐって抜ける。


「先教室行くから」

「俺も行くっ!」


並んで歩くと、注がれる視線が痛かった。