後ろから聞こえた声に向かって振り返ると、

いつもの顔の稜佑が。


でも、いつもの違うのは、

彼を見る私の視界に

メガネのフレームが写っていないこと。


「これで文句ない?」


そう、あの時の約束、

『俺が学年1位とったらさ……

香乃子ちゃん、そのダテメ外してよ』


コイツはその賭けに見事勝利した。

要するに全教科総合学年1位なわけで。


私は悔しさを紛らわすため

少し上から目線な感じで

彼に話しかけると、


私は約束を守ったって言うのに、

何故か変な顔をしている。


唇の端がひくひくして、

眉間にはしわ。


「ちょっと、稜佑?」

下から思いっきりにらむと、

急に手を引かれ、

またいつもの、人気の少ない廊の端へ。