――やけに周りがざわざわしているのは、
絶対に私の気のせい。
それはわかってるんだけど、
いろんなところがスースーして落ち着かない。
駅から歩いて校門をくぐるまで、
それまで誰とも会わなくてよかったと肩を撫で下ろした。
昇降口に差し掛かり、
手にぎゅっと力を入れて足を進める。
コレに合わせて、
格好も自分らしく直した。
春から今まで、
新しく格好を変えたあの自分も好きだったし、
アイツに直談判してすぐ元に戻させてもらおう。
そんなことを考えていると、
あっというまに教室に着いてしまった。
あー、緊張する。
誰にも気づいてもらえなかったら……。
そんな不安を抱えつつ、
教室のドアを開け――ようとして、
「……約束、守ってくれたんだ」
あー、なんでよりによって
コイツに先ず見つかっちゃうかな。
「そういうのはちゃんと守りますよ、
……首席さん?」