黙っていると

『俺に見惚れてた?』

なんて言われそうで慌てて口を開く。


「わ、わかった!!」

自分でよくわかってもないのに、承諾してしまった。


「お、乗ったね!

……まあありえないけど俺が1位じゃなかったら

香乃子ちゃんのなんか要求飲むよ」

なんて。


って、これ、よくよく考えると、

結構いいんじゃない!?

もう『香乃子ちゃん』って呼ばれたり付きまとわられなくなるかも!?

稜佑が首席なんて、入試問題でヤマが当たっただけよ。

絶対私の要求聞いてもらえる!!

まあ万が一コイツが1位になっても、

もうそろそろこのダテメも……


なんて考えていて、

「って事で、可愛い香乃子ちゃんが晒されちゃうよ、水野くん。

阻止、頑張らないとね?」

「俺には何のことかわからない」

目の前の会話はよく聞こえてなかった。