私の前を歩く2人を見ていると、

特に水野くんにはとてもお世話になったし、

なにかお礼、したいな……。


そう思って2人を抜かして、足を止めさせる。

「うおっ、何、香乃子ちゃん」

「……?」

不思議そうな2人に

「今日はありがとう!

水野くんは昨日も一昨日も!

……何か、お礼、とかできたらなーって」


私がそう言うと、揃って

「「テストでいい点取ってくれればいいよ」」

なんて拍子抜けた。


「だよなー」

「うん」

なんて仲良さそうに話してる2人を見ると嬉しくて、

でも、申し訳なくて。


そんな私に気付いたのか


「そもそも俺が貸した本が原因だしね。

それが山田さんの点数下げるのが嫌だったから」

水野くんはそう言ってもなお納得できない私を見て

「なら、また今度本の話、しよう。

お礼はそれがいい」

なんて優しく笑う。


「水野かっけー!!」

なんて隣で騒ぐ奴とは大違いだ。


「うん!わかった!!」

私はそう頷くと、

不本意だけど、稜佑の方を見た。