「うわっ、ごめん!
私1人でずっと喋って……!」
急いで謝ると
何故か水野くんの表情はいつもより少しだけ生き生きしていて。
「山田さん、また昼休みっ」
彼がそう言った時に担任が教室に入ってきて、
私は返事もなかなかにすぐに席に戻った。
号令がかかって席に着き、
さっきの言葉を思い出す。
『また昼休みっ』……?
え、もしかして、
昼休みにまた話そう!ってことかな?
私はそう解釈すると急にわくわくしてきた。
本の内容を水野くんとお話しできるなんて。
水野くんが1人じゃない昼休みになるなんて。
その日の授業は板書はしつつも、
頭の中は小説と昼休みのことでいっぱい。
あっという間にお昼の時間になり、
「香乃子ー、ご飯食べよー!」
「はーい」
みんなに呼ばれてお弁当を持ち合わせた時にみんなが参考書片手に
問題を出し合っていたのを見てまた現実に戻る。
……やば、だから今テスト1週間前なんだってば。