――「はぁ…………」
ふと無意識にため息が出てしまう。
朝の気持ち良い空気が台無しになるくらいの憂鬱感。
今朝は学校に行くのがいつも以上に嫌だ。
理由はもちろん、桃井稜佑。
だって、あんなチャラチャラしてる人に私みたいな地味なやつが
『気持ち悪い!』なんて言ったなんて、
もうきっと学校全体に広まってるでしょ……。
電車に乗るのすら躊躇ってしまったけど、
そもそも学校には勉強のためにも通ってるんだし、
学生の本業を成すためにもそんなことで欠席はすべきじゃない。
なんて、自分を無理やり奮い立たせて学校へ向かった。
学校の最寄り駅は既にうちの学校の生徒で溢れてて、
どこに誰がいるかなんて全然わからないから、
ふいに桃井稜佑やその周りの人たちと会ってしまったらどうしようと思うと
すごい恐ろしい。
教室、行きたくないよ……。