照れ屋、って何?

今の本気の拒絶を照れ隠しって捉えたわけ?

自分が嫌がられる可能性なんてこれっぽちもないと思ってるってこと?

……どんだけ自惚れれば気が済むんだ、この人。


私はドン引きして、

つい言ってしまった。


「だ、誰もがアンタのこと好きなわけじゃないから。

調子乗るな、自意識過剰!!」

毒づいている発言が1回ならまだ偶然で済んだかもしれない。


だけど2回目となると

それは相手も私がこういう物言いだって気づくと思う。


性格も口調もキツくて付き合いづらい、なんて
高校では絶対に誰にもそう思われたくなかったのに……。


私は普段から人に言うってわけではないけど、

イラっとした時や相手につい口調がキツくなってしまうという、

自分でも直したい短所があった。


それが、今、こんな時にこんな相手に対して出てしまうなんて。


「……あー、えっと」

相変わらずとぼけた顔の桃井稜佑が

今のに何かコメントしようとしてるのに気づいて、

「ご、ごめんなさぁい!!」

言いながら私は廊下を駆けて逃げた。


荷物を教室に忘れてたのに気づいて、

しばらく時間を空けて戻った時には、

もう教室にアイツの姿はなかった。