稜佑がストレートな質問を
水野くんに投げかける。
私は内心、一瞬で肝が冷えた。
水野くん、怒っちゃうんじゃないかな
返事してくれるかな。
「……」
案の定彼は口を開かない、
と思ったら
時計をチラッとみて
「友達はいらない。
好きで作ってないから」
と落ち着いた声が
聞こえたと思ったら
それと同時にこの時限の終了を告げるチャイムが鳴り響いた。
チャイムが鳴ったのを聞いた水野くんは自分の席へと帰って行き、
私と稜佑はただ黙ってその一連の流れをみていた。
自分の意思で友達を作らないなんて、
なんだか水野くん、
訳ありって感じなのかな……?
「香乃子ちゃんー!席戻ろうー」
隣から紗依ちゃんの声が聞こえると
はっとして
「うん」
とだけこたえた。
うーん、
ますます気になるよー!
……しかもこれって、
実はあんまり話しかけない方がよかったりするのかな?
とにかく、水野くんは私とは全然似てないっていうのがわかった。
でも、本の話題には付き合ってくれたし、
聞いたことにはちゃんと対応してくれた。
性格の悪い人じゃないのはわかったから、ちゃんと友達になりたい。
友達になって小説の話、もっとしたいな。