……料理か。
実はあんまり得意ではない私は少し不安を抱いていた。
みんなの足を引っ張らないといいんだけどな。
なんて不安に思っていると
「とりあえずうちの班は男女それぞれ班長、副班長がいるから、
俺と山田さんがそれぞれかまどと炊事のまとめ役な」
不安にとどめをさすような言葉が聞こえた。
「えっ……まとめ役……?」
いかにも『不得意だからまとめはちょっと……』と聞こえる弱々しい声を出してしまった。
「私比較的料理好きだからさ!
大丈夫だよ、香乃子!」
「わ、私も、手伝い程度ならよくするから、
力になるよ、香乃子ちゃん」
すかさず入れてくれた美奈ちゃんと紗依ちゃんのフォローに
私も稜佑も安心したのか
その決定はそのまま覆らなかった。
……私は名だけのまとめ役かなぁ。
「まあ後はこの時間でしおり一通り班で読んどくんだけど、
みんなもうガキじゃねえし大丈夫だよね?」
なんて、
コイツにしてはなんとも普通なことを言う。
てっきり「みんなで確認しようー!」
なんて変なテンションで絡まれるんだと思ってたんだけど。
「……てことでさ、
後は自由時間ー!」
なんて、今回はあっさり解散。
暇になるのかー、
どうしようかな。
何て思ってると、稜佑と目が合う。
ん?何だろう?
少し首を傾けると
彼の瞳はチラッと水野くんを指した。
……ああ、あの話か。
あの放課後話した、水野くんを気にかけろってやつ、
実はあれ以来話し合いがなくて
未だに実現してなかったんだったよね。