「そういえば香乃子さ、

桃井くんに呼ばれて何話してたの?」


ふと私に話題がふられると

3人がこっちに顔を向けた。

私はさっきのアイツとのやり取りを思い出して

思いっきり眉をひそめた。


「え、顔赤いけど……もしかして?」


美奈ちゃんに『顔が赤い』と言われて慌てて頬をさわると

確かに少し熱を持っているかもしれないけど、

多分それはアイツの行動の意図がよくわからなくて腹立たしいから。


「『もしかして……』?」

美奈ちゃんの言っていることがわからなくて

首を少し傾けると

「香乃子、桃井くんのこと好きなの?」

なんて茜ちゃんのすっとんきょうな言葉が聞こえた。


「す、好きなわけがないよ!!」


お茶時で賑わう店内でも

大きめの声で立ち上がり否定した私。


「えー、何その反応、怪しいー」

なんて疑ってる2人には面白がられてるらしく

にこにこと笑顔を向けられる。


それを否定するために首をぶんぶん横に振ると

「香乃子ちゃん、苦手って言ってたよね?」

なんて紗依ちゃんからのフォローが入った。

「う、うん」

少し落ち着き、座りなおす。


「え、そうなの?」

と美奈ちゃんが不思議そうに私を見るから、

「なんかああいう頭軽そうなのって苦手なんだ」

と苦笑いで軽く答えたつもりだったけど、

なぜか少し空気が変わった気がした。