僕と彼女は、全く正反対だ。雄と雌はそう出来ているのかもしれない。でも、こんな風に周りから見れば、仲良く上手くやっているように見える。互いに本心はどうなのかも知らずに。彼女にとって僕は、自分の気を晴らすための道具にしか過ぎない。玩ばれている。僕の方はそう感じている。彼女は僕から何を得ようとしているのか、僕は彼女からは何も得られないでいる。”Φ”を自由にしてあげられる事を。
 何にせよ、この実験に何か含みがあることは事実だ。とにかく、彼女は何のために作り出され、我々は何をしようとしているかだ。それを操っているのは誰で、外へ行くたびに壊れて帰ってくる彼女を治している僕は、何をさせられようとしているのか。僕はまた以前に戻ってしまったのだ。

 人間がまた人間を玩ぶ世界に。こんな時だというのに。