部屋の中の、検査用の機器の音が良く聞こえた。彼女はもう一度僕を見て微笑んだ。僕は何も言えず笑顔を返すだけだった。
「そう・・・。もう、部屋に帰って大丈夫だよ。」
誰も彼女の事を”彼女”と呼んだりしない。彼女の心など誰も見ていない。それは名前ではなく単なる固有名詞のように”Φ(ラヴ)”と、そう呼ばれていた。何にも属さない、自由な存在として。しかし、今の彼女に自由などありえない。皆は何をもってして、彼女を人間でないと決めるのか。理屈では決め付けられない事実が、目の前で生きているというのに。そう押し付けることで、自分達を人間として保とうとしているのだろうか。単なるエゴでしかない。彼女に対してでなくとも、今じゃ同じ人間同士でもそうか。自分さえ良ければそれていい奴らの方が多すぎる。こんな事態になっても、誰もが繋がろうとはしない。人にとって人とは、一体何なのだろうか?
僕には彼女の方が人間らしく見える。
「そう・・・。もう、部屋に帰って大丈夫だよ。」
誰も彼女の事を”彼女”と呼んだりしない。彼女の心など誰も見ていない。それは名前ではなく単なる固有名詞のように”Φ(ラヴ)”と、そう呼ばれていた。何にも属さない、自由な存在として。しかし、今の彼女に自由などありえない。皆は何をもってして、彼女を人間でないと決めるのか。理屈では決め付けられない事実が、目の前で生きているというのに。そう押し付けることで、自分達を人間として保とうとしているのだろうか。単なるエゴでしかない。彼女に対してでなくとも、今じゃ同じ人間同士でもそうか。自分さえ良ければそれていい奴らの方が多すぎる。こんな事態になっても、誰もが繋がろうとはしない。人にとって人とは、一体何なのだろうか?
僕には彼女の方が人間らしく見える。