…どれくらい時間が経ったのだろう。



 ドアのノックが聞こえた時には

 私はベッドに横たわり、半分夢の中にいて、



 入ってくる人影が誰かを認識することも億劫だった。




「…リオって呼んだんだって?アイツ」




 私が眠りについていないのを知ってるのか、


 起き上がりもしない私に、ドアのそばから話しかけてくる。





「馬鹿なんだ、アイツは。


 思い出に酔うことでしか、現実を見れない」




 大して美しい思い出でもないのに、と

 黒髪が吐き捨てるように言った。