「お…おはよ…」


翌日の学校で。


誰とも目を合わせないように極力下を向いて、首を覆うように髪の毛を垂らしながら、席につく。


よし、まだ誰にもバレてないな。


ホッ―と胸を撫で下ろし、まだ主の来ない隣の机に、横目でチラリと視線を這わせる。


なんであたしがこんな目に…


でも、今さらそんなことを言っても仕方がない。


よし!
誰に不審がられても、今日はこのスタイルを貫くぞ!


今日一日、誰ともしゃべるもんか!


そう決意したあたしの心を、


「あれ、おまえ。
そんなものを首に貼って。
吸血鬼にでも噛まれたか?」


黒あくまの残忍でドス黒い声が、いとも簡単に打ち砕き――…