そして、その瞳はキラキラと期待の眼差しを向けている。
「そんな目したって歌わないって」
「そんな目ってどんな目?」
少し小首を傾げる蒼。
無自覚のキラキラ光線か?
無自覚ならなおさら質が悪い。
「とにかく歌わないからね」
プイっと再び顔を背けてからチラリと横目で蒼の表情を伺う。
シュンと落ち込んでるかと思いきや、蒼の表情はニヤニヤと何か言いたげに口元だけが笑っていた。
「……なによ」
蒼から返ってくる返事は一言、「べつに」だった。
しかもニヤニヤニヤニヤと締りのない口元で。
「言いたいことあるならはっきり言いなさいよ」
「ただ……麻緋も歌いたいんじゃないなって思って」
どういう意味だ。なんてことは言えなかった。
だって、歌ってと言われたときから喉が訴えかけてる。
ウズウズして、早く歌わせろって私を急かして来ていたのは事実だから。