だけど、肩に残る麻緋の熱と肩にまわした手が、麻緋を覚えていて……。


抱きしめたその感覚を思い出しては恥ずかしくなって、
麻緋の真っ赤になった顔とかも思い出してしまうと、ドキドキが加速して眠れるはずもなく、


自分自身を抱きしめたり、その先のことを思ったり……





とにかく、この日の晩は寝れなかった。




次の日から、麻緋の部屋からは再び歌声が聴こえるようになり、その声を聴いて俺はホッとした。





もう二度とあの声が聴こえなくなってしまうのかもしれないと思っていたからだ。



俺があの歌声を奪ってしまうんじゃないかって思ってしまったからだ。






でも、良かった。


この歌声を、俺は聴きたかったんだ。