風呂上りで、滴をポタポタと垂らす麻緋は妙に色っぽい。


そしていい香りがする。



染まる頬に濡れた唇。


そしてバックミュージックにこの美しいピアノ。




「……ねぇ」

少し機嫌の悪そうな麻緋の声で現実に引き戻される。


「な、んでしょう」


その声で、色々妄想してたことがバレたのかもしれないと思い、心臓がドキンと一気に跳ね上がる。



「歌……結構聴こえてた?」


真っ赤になって俯く麻緋が可愛くて可愛くて可愛くて可愛くて仕方がなくて、今度は考えるよりも先に麻緋の体をきつく抱きしめていた。




「……ちっさ」

初めて抱きしめた麻緋の体は俺の想像していたよりも小さくて、肩なんか細くて、力一杯抱きしめれば壊れてしまうんじゃないかって思えるほどで、俺は少し、力を抜いた。



麻緋の濡れた髪が肩に伝わり、俺の肩を濡らしていく。


そして、その濡れた肩から、じんわりと麻緋の熱を感じた。