「気晴らし、出来た?」


頂上まであと少し。というところで雅哉さんが口を開いた。


「はい。ありがとうございます」


雅哉さんの顔を見ると優しく微笑んでくれる。


「この頂上から見る景色を春花ちゃんに見てもらいたかったんだ」


その言葉に私は視線を外へと向ける。

私たちの住んでいる街がそこには広がっている。


いつも見慣れているはずのその場所は、見方を少し変えただけで魅力的に見えた。

いろいろな事が浄化されていくような気がした。