旅行から帰ってきた雅哉さんは、いつものように私の隣で勉強を教えてくれている。

でも、私はマスターの言葉が頭の中でぐるぐる回ってなかなか集中出来ない。


「どうしたの?」


そんな私に気づいたのか、雅哉さんは首をかしげる。


「ちょっと行き詰っちゃって……」


慌ててそれっぽい言葉を口にするが、見透かされてるんじゃないかと不安になる。


「あぁ、ここは……」


そう言って私の手に握られたシャープペンシルを手に取ると教本に何か方程式を書き込んでいく。


一瞬手が触れてドキドキしている私の真横には雅哉さんの顔。


もう、勉強どころじゃなくなっていた。