「本当にありがとうございます」 私は隣を歩く人物に笑顔を向ける。 あの後すぐにカフェから出てきた男性の手に握られていた2本の傘。そして片方を私に差し出してくれたのだ。 雪は先程よりもその量を増していた。 こんな中、傘も差さずに歩くのは流石に気が引けるからありがたかった。 「雪まみれで帰って下さい。なんて言えないでしょ」 そう微笑む横顔は、雪がレフ板の代わりをしているせいか綺麗に思える。