その際心配なのは娘の由美が賛成してくれるかどうかと、康弘の母親の介護が大変だろうということだった。

夫の幹男には何を言われようと不安はなかった。

幹男には愛情のかけらすらなかったし、幹男がスナックの女と不倫関係にある確たる証拠も美恵は握っていた。

美恵はそんな事を考えながら近所のドラッグストアへ、妊娠検査キットを買いに行くのだった。


三日後の土曜日、夫の幹男がパチンコに行っている隙に美恵は康弘の家へ訪れ、ドキドキしながら市販の妊娠検査キットで尿検査をしてみた。

「ちょっとトイレ借りるわね」

すると、心配していた通り陽性反応が出るのだった。

トイレから出てきた美恵の顔は少し戸惑ってはいたが、内心の嬉しさは隠せず

「どうも妊娠してるみたいよ。まさか42歳にして二人目の子供を妊娠するなんて…」

美恵が恥ずかしそうに康弘に打ち明けると

「僕もびっくりしたよ。この歳で初めてお父さんになるんだからね」

そう言って康弘は美恵を優しく抱きしめた。