康弘の汗が美恵の頬に落ちた瞬間、美恵は康弘に激しく抱かれながら我を忘れた。

そして、美恵の瞳からは一粒の涙が康弘の唇に零れ落ち、二人の心と体は一つに溶け合っていった。

美恵はこのまま時間が止まればいいと、強い快感の中で思うのだった。

そして、康弘の種が美恵の中へ入って行くと、美恵は今まで感じた事のないこの上ない幸福感を味わうのだった。


「私をもっとめちゃくちゃにして!」


そう言って美恵はまた康弘の大きな身体に抱き着きついた。


康弘は独身だったが、美恵には夫や娘がいた。

でも美恵にとってこの一時だけは、夫も娘もほとんど意味を持たなかった。

この瞬間だけが美恵には本当に生きているという喜びの実感があった。

それは何物にも変えがたいものだった。

美恵は康弘と一つに溶け合う瞬間、何もかも無くしてもいいと感じた。

そして、二人は世間では決して許されない、禁断の恋へと深く堕ちて行くのであった…。


(つづく…)