そして、いよいよ美恵の出産の予定日が近付いて来た。
ところが、予定日の三日前にして美恵の容体が急に悪くなり、真夜中に高い熱を出し苦しみ始めた。
康弘は慌てて救急車を呼び、由美と一緒に自分の運転する車で市民病院へ向かった。
康弘と由美が病院に着いたのは深夜の3時を少し過ぎていた。
美恵は既に救急治療室に運ばれていて、医師や看護士達の懸命な治療が行われていた。
「お母さん大丈夫かな…」
由美は取り乱し、不安げに病院の廊下を行ったり来たりしていた。
「きっと大丈夫だよ!だから由美ちゃんも落ち着いて…」
「そうね、私のお母さんだもの。これぐらいへっちゃらだよね」
「そうさ、由美ちゃんの為にもお母さんはきっと元気な赤ちゃんを産んでくれるよ!」
「お母さん頑張って!」
由美は興奮のあまり、深夜の病院で大きな声を出した。
時間は刻々と過ぎて行き、美恵が病院に運ばれてから既に3時間が過ぎ、窓の外はうっすらと夜明けを向かえようとしていた…。
(つづく…)