美恵と幹男の結婚生活は15年で呆気なく幕を閉じた。
離婚に際しても一切争い事は起こらず、幹男は財産の半分を美恵や由美に分け与え、由美が成人するまでは養育費用を支払うとまで約束をした。
季節は初夏を向かえそろそろ夏休に入ろうとしていた。
美恵と康弘は一緒に暮らし始める前に、四年前に亡くなった妻真由美の墓前に報告に訪れた。
伏見区の高台にある墓地には蝉の鳴き声が響いていた。
康弘は真由美の29日の命日には毎月欠かさずお参りに来ていた。
前回訪れた時に手向けた花が萎れていたので、新しい花を供え二人して深く頭を下げ祈りを捧げた。
「真由美さん、私達の事許してくれるわよね」
「大丈夫だよ。実は昨夜真由美が夢枕に立って、結婚おめでとうって言ってくれたんだ。そして、私の分まで二人で幸せになってねとまで話してくれたよ」
「そうだったの。真由美さんありがとう。私達必ず幸せになりますからね…」
美恵は言葉を詰まらせ、思わず康弘に縋り付いた。