その夜、幹男が帰宅するのを美恵と由美はリビングでじっと待った。
その日は珍しく早く帰って来た幹男は、妻や娘のただならぬ雰囲気に気付き少したじろいだ。
「どうかしたのか、二人共そんな怖い顔をして…」
「貴方大事な話しがあるから座って下さい!」
意を決するような美恵の言葉に、幹男は黙ってソファーに腰をかけた。
「大事な話しって何だよ?」
「私と離婚して下さい!」
「・・・」
幹男は内心はいつかこんな日が来るだろうとは予感はしていたが、いきなりだったので言葉を詰まらせた。
「私はもう貴方とはやって行けないと言っているのよ!」
「私もお父さんと一緒にいるのはもう嫌よ。だからお母さんの言う通り離婚してあげて!」
三人の間にしばらく沈黙の時間が流れた。
「そうか、お前達がそこまで言うなら分かったよ。今までいろいろ迷惑をかけてすまなかったな…」
二人の勢いに圧倒されたのか、幹男は以外にも素直に自分の非を認め謝罪するのだった。
(つづく…)