「あ…あの、そのボール…」



おそるおそる声をかけると、


「ハイ。どーぞ」

と言って渡してくれた。




顔をあげると、もうその女はいなかった。



「ありがとうって言えなかったなぁ…」


オレは少し悲しくなってグラウンドに戻った。



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