「えーっと。これはなぁ・・・」
柊先生の長い指が、ノートの上をすべる。
先生の教え方は、ほかの誰よりもわかりやすいから、好きだ。
頭の中に、すんなり入ってきてくれる。
でもそれよりも、わたしの意識を占めるのは、柊先生に関することばっかり。
先生の横顔、やっぱり好きだな。鼻、高いなぁ・・・
・・・あ、だめだだめだ。ノートに集中集中。
「ここ、代入するまではわかる?」
「すっごいわかる!!」
「・・・ほんとかよ」
先生の声が入ってくるのは、いつもわたしの右耳。
勉強を教えてもらうときは、わたしが左っかわに座って、先生が右っかわに座る。
ぜったい、この並びなんだ。