あいかわらず、本棚にはいっぱい、むずかしそうな本がつまってる。


たくさんあるのに、全部読み込まれてるのか、年期がはいってて。



・・・しあわせだろうな。



ミルクティの表面に口をつけながら、思った。


この本たちは、いいなぁ。


柊先生の指に、何度も何度も、めくられるんだもん。




「今日、どうした?」

「えっ」



ぽけーっとしていたから、反応がおくれてしまった。


顔をのぞきこまれて、背筋がのびる。


今日の、柊先生。当然だけど、白衣じゃない。


ゆるめのTシャツからのぞいた鎖骨に、どきっと、心臓がはねる。


血管が浮き出た、首筋の上。

そこにある、整ったかたちの、くちびる。


わたしのくちびるが、それに触れたなんて。


意識したら、めまいがしそうだ。